3ヘッジファンドが「タイが現在の為替レートを維持できない」と見て空売りを仕掛ける

ジョージ・ソロスをはじめとしたヘッジファンドは、タイの経済状況では為替レートを維持し続けるのは困難と判断し、1997年5月14日にバーツに大量の空売りを仕掛けます。

ドルペッグ制を死守するには、バーツ買いドル売りの為替介入をする必要があります。

でもタイ中央銀行の手持ちのドルの底が尽きれば介入し続けることは困難となり、変動相場制へ移行せざるを得なくなるのです。

結果、タイ中央銀行はヘッジファンドの売りに耐えられるほどの外貨準備高を持ち合わせておらず、7月2日に変動相場制に移行することを発表します。

結果タイバーツは大暴落。

タイはIMFの管理下に入り、IMFや日本から160億ドルの融資を受けました。

アジア諸国で暴落スパイラル

同時期に他のアジア諸国でも通貨が急落。

東南アジア諸国ではタイと同じようにドルペッグ制を敷いていました。

しかも東南アジア諸国では「通貨バスケット制」と呼ばれる、ドルだけではなく他の国国々の通貨レートの平均値と連動させる通貨制度を行っていたのでした。

マレーシア

マレーシアもヘッジファンドの空売りを受けました。

1997年8月17日に変動相場制へ変わると、リンギットが50%近く下落します。

マレーシアはIMFの支援は受けず、自力で再生計画を立てました。

インドネシア

当時の状況もは良く、外貨準備も十分にあり、貿易黒字というタイとは違ってインフレが続いていました。

しかしインドネシア当局の為替介入により状況が一変。
変動相場制になると、ルピアは40%近くも暴落。

30年近く続いたスハルト政権が退陣に追い込まれるなど、政局も大混乱します。

結果、インドネシアはIMFに支援を要請、IMF・世界銀行・アジア開発銀行は総額230億ドルの支援を行い、日本も独自に協力しました。

韓国

製鉄企業の韓宝鉄鋼、自動車会社の起亜自動車などの財閥系企業の倒産が発生しました。

ムーディーズは韓国の異変に気付き、韓国の格付けをA1⇒A3まで格下げします。

そして外貨準備高が減り、IMFへ支援を求めます。

一国の通貨さえもヘッジファンドに狙われる

アジア通貨危機について解説しました。

アジア通貨危機が起こったのは、ヘッジファンドによる仕掛けによるものです。

一国の中央銀行にも太刀打ちできないほどの大金を一斉につぎ込んで売りを浴びせ、その国の通貨体制まで変更させてしまいます。

ヘッジファンドに狙われる国は実際の経済と通貨評価額が乖離しており、ドルに依存しすぎている状態の新興国です。

東南アジア諸国は以来強固な連帯を築き、日本もFTA(自由貿易協定)政策などを推し進めています。

でも、ドルペッグ制の国は世界にまだあるので、似たような事が起こらないとも限りません。

特に新興国に投資しているなら、リスク管理を怠らずに☆彡